PSTアカデミーのOBは日本へ帰国して各地で活躍しています。
今回の記事は、その中から現在FCバルセロナスクール奈良校で活躍している岡本一希さんのインタビューを2回に分けてお届けします。
第一回の記事はこちら
第二回の今回はバルセロナから帰国した後の今の就職先に至るまでのプロセス、そして大学生ながら海外に出るメリットを話していただきました。
バルセロナにいながら就職活動の準備を
そこから1シーズンチームで活動して、休学してバルセロナにきていましたからプログラム終了後は大学を卒業するために帰る前提でしたよね。
岡本: そうですね。帰るというのは決めてましたね。正直すごく時間が過ぎるのは速かったですね。
じゃあ今度日本に帰るタイミングが見えてくると、考えることは日本に帰った後のことです。バルセロナにいながら日本に帰った時のことはどのように想像していましたか?
岡本: 日本に帰国したのが2017年の6月末だったんですけど、ゆくゆくはサッカーの仕事も探しながら、日本の就活も同時にやろうと考えていました。なので、2017年の年明けぐらいから徐々に業界用語でいうエントリーシートというか、自分の自己分析っていうのもしつつ、自己PRや文章もスペインにいる時から準備していました。
今だとオンラインで送ったりできるので、もともと自分の同じ歳の友達にも「作っておいたほうがいいよ」ということも言われていました。
それはやっておいて良かったと感じますか?
岡本: そうですね、やってて良かったなと思います。
普段は自分の自己PRなど考える時間もなかったので、1月に指導者学校が休みだったので、そこで時間を充てることができました。
じゃあその間に次のステップに向けて準備していたんですね?
岡本: そうですね!していました。
企業は何系の企業にエントリーシートを送ったんですか?
岡本: スポーツメーカーや新聞社とか、あとは出版社とかですね。
内定はスポーツメーカーの小さなところから一つ、それからスポーツメディアというか、運営会社から一つ内定はあったのですが、いろいろ考えて今のお仕事に就いたという感じですね。
何を比較して決めたのですか?
岡本:仕事の内容ですね。スポーツメーカーだったら例えば、サッカーの部署になれるかも分からないですし、スポーツメディアだったら他の競技、テニスとかそういう違うスポーツになった時に、自分が仕事に対してモチベーションを持てるのかって考えた時に、そこが判断材料でした。
サッカーを希望していたのですね。
岡本:そうですね。更に2年間スペインに行っていたので、スペイン語とサッカーを絡めた仕事ができたら幸せなのかなと思っていました。
最終的に決めたのはバルサスクールですよね?
岡本:そうですね。奈良にスクールが立ち上がるという話を聞いたので。自分も地元が京都なので、関西から何かそういった形でアクションを起こせればいいなと思っていました。
それは何月くらいでした?
岡本:8月、9月くらいですね。
ちなみに何回生の時に休学したのですか?
岡本:4回生の春学期で休学しました。そこから2年間バルセロナにいて帰国したのが2年後の6月です。
で、学校に戻ったのは?
岡本:10月です。4回生の7月まで授業を受けてそこで必要な単位を取ってから2年間休学したので。
10月に復学して、その後の3月で卒業をしたということですね。
岡本:そうですね。
留学をして自分に自信がつきました
では、就職活動のことについて教えてください。就職という場面において、自分と向き合うことになると思うのですが、留学が活きた場面などはありましたか?
岡本:いろいろな人と話すことを通じて、初めて会う人とも緊張を感じなくなりました。就活の面接のときにも、普通は堅い印象があると思うのですが、むしろ僕から面接官がどんな人なのか、ということを思うようになりました。全体としてコミュニケーション能力が上がったと思います。
ましてや、スペインにいたときは日本語で喋っていなかったので。その点で留学をしてよかったと思います。また、学生時代に何をしていたかを問われることはよくあることですので、その時にスペインで経験したエピソードが考えていなくても口から出てくるので、そうしたナチュラルさが求められていることなのではないかと思いました。「こんな問題に直面して、こうやって解決しました。」ということを話せれば有利でしょうね。アピールにもなると思います。
他の就活生と比較できる場面があったのですか?
岡本:グループ面接などもありました。4,5人でやったり、その中で意見を出し合ったりもしましたし、5人は並びながらも個人個人でやりながら。そうした中でありましたね。
留学に行って同世代の人と比べて成長を感じたことがありましたか?
岡本:人前に出たときも自信がありました。大勢の大人を前にしても全然緊張しなくなりましたし、堂々としていた方が有利だと思いますし、そこは留学に行って変わったところだと思います。また、グループディスカッションの時にも、留学前はそうした場面であまり喋らなかったのですが、留学に行って積極的に自分から入って行けるようになりましたし、それこそサン・ガブリエルにインターンに行っていたときに選手と監督の間に立つこともできるようになりました。周りの人を見ながら自分がどうすればよいかを判断することもありますね。
サン・ガブリエルで、自分を出さなければいけないという経験をしたことで、積極性の獲得に繋がったのでしょうね。
岡本:日本人だと、何もしなかったら相手にされないと思っていたので、もう行くしかないと、1年間本当に頑張ってみようと思っていたので、そのおかげで今があります。今もWhatsApp(スペインで利用されているチャットアプリ)のグループに入って、未だにコミュニケーションをとっています。
当時の監督は今は何をやっているのですか?
岡本:一人はコルネジャに行ったんですかね。僕の第一監督はコルネジャに行きました。また、僕はベンハミン Aだったのですが、ベンハミン Bの監督とも仲が良く、その人たちとのWhatsAppのグループがあって、その監督はサン・ガブリエルのアレビンで監督をやっているんですかね。
当時の監督とはどのような話を?
岡本:日本の話もしますし、今日本とスペインのサッカーの関係はより身近になったので、そうした話をします。なにかまた一緒に仕事ができる機会があれば嬉しいです。仲間ができるのは海外に出る一つの大きなメリットだと思います。
もし留学に来ていなかったら今ごろ何をしていたと思いますか?
岡本:それは今でもよく考えることはあります。当時の性格のままだったのかな、と考えることもありますが、答えは出ていません。本当に分からないです。
当時からすると想像できないくらい変わりました?
岡本:間違いないです。バルセロナに行って良かったです。
では、将来の目標などを教えてください。
岡本:今はバルサアカデミー奈良校で仕事をしていて、上司の方にも恵まれて、いいチームで仕事ができています。アカデミーもスクールも2年目に差し掛かっていることもあり、今こそ真価が問われると言いますか、質の提供や、何人スクールに入ったのかなども評価されると思うので、3年目、4年目と作っていきたいと思っています。
バルサスクールではどういったきっかけで面接を受けたのですか?
岡本:求人サイトです。そこで通訳の募集を見つけました。
今はどんな仕事を?
岡本:通訳です。奈良に住んでいるスペイン人のテクニカルディレクターの送迎から、細かいお金の支払いや計算及び管理。また、サッカーの業務としては練習メニューの翻訳、ビザの用意などです。そして、1日1回のスタッフミーティングの通訳やスペイン人コーチとの意見交換、練習の状況の把握、練習中のコーチの指示の通訳などです。スペイン人コーチが全体のことを把握しないといけないので、同時に僕も把握しないといけないことになります。スクールがどう動いているのか、各選手がどのようなプレーをするのかはもちろん、また、どんな問題を抱えているのか、といったことを網羅的に把握しないといけないので、そうしたことが僕の業務です。
信頼されて任せてもらっていることは素晴らしいですね。
岡本:2年目になって、ある程度任されているのは自分でも感じているので、最近では上司の方に自分から積極的に業務の報告などをしています。「これをやった方がいいですか。」という風ではなく、「これをやって、今こういう状況です。」という流れになっています。
留学前の指導の経験と比べて、指導の仕方や選手の見え方は変わりましたか?
岡本:留学前は「今日はこれを教えよう」「今月はココを伸ばそう」といったことは考えず、型にはまった指導をしていたのですが、スペインでいろいろな人からゼロから教えてもらいました。例えば、練習メニューの作り方や、練習を成立させるために修正するべき点、指示内容や指示を与えるタイミングなどです。インターンでチームに入ってからは、相手をどう分析するか、シーズン中の練習の強弱の持っていきなど、いろいろなところでいろいろなことを学びました。そうしたことは、今の仕事でも、自分の中で財産になっています。
これから留学を考えている人に向けて、どんな人にPSTアカデミーのプログラムはお勧めだと思いますか?
岡本:サッカーが好きだというのはもちろん、自分に自信が持てない人に、殻を破って成長してもらえる、いいプログラムだと思います。留学に行く前の準備、留学に行ってからの過ごし方も大事だと思いますので、「自分はこれだけやったんだ」ということを言えるようにしてほしいと言いますか、そうしたことがまだない人にオススメだと思います。自分が成長できるいい機会だということを伝えたいです。
本日は貴重なお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。
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