世界の各国においてサッカーライセンスコースの内容や進め方に違いがありますが、スペインと日本では何か違うのでしょうか?
今回は、日本での指導経験やライセンス取得の為の指導者講習会にも参加経験のあるアカデミー生に、スペインと日本のライセンス取得方法の違いについての印象を聞いてみたのでお届けします。(以下は受講生日記の抜粋です)
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Q. 日本とスペインにおける指導者ライセンス取得の違いには何がありますか?
期間の長さが全く違います。日本ではB級でも8日間ほどの実技講習会を2度、そしてスポーツ全般の共通科目を半年以上の期間に渡ってネットで通信教育を受けて、テストを含めた1泊2日の講習会に参加するという形でした。しかし現在通っている学校では基本的に平日は毎日朝8:30から14:00まで授業があり、それが9ヶ月続きます。まさにサッカーの専門学校に通っているような感じですね。
Q. 内容についてはどうですか?
授業がとても細分化されていることと日本では授業として存在していなかった分野があります。例を挙げると、どうやって選手やチームを良い方向に導いていくかを学ぶ「チームマネジメント」や練習メニューを組む際にどういった形式やルールがあるかを学ぶ「教授法」等があります。もちろん経験していってオリジナルのやり方を作っていけばいいと思うのですが、経験だけでなく理論として知っているのとそうでないのとでは違いが出ると感じています。
Q. ここまで授業を受けてきてスペインや南米の人々と日本人の受講態度に違いはありますか?
まず驚いたのは先生と生徒の距離感です。
もちろん互いに尊重はありますが、先生が上で生徒が下という関係性はありません。生徒は何かを教えてもらおうというより何かを盗んでやろうという意識が強いように思います。というのも、彼らは先生の考えに賛同できないと思ったら先生の話を中断させてでもすぐに対立意見を述べます。
そこで先生も説明するのですが、まとまらない時もたまにあり、その時に先生は「自分はそう考える。でも皆の意見もあっていい」と言います。それは決して逃げてる訳ではなく、互いを認めて尊重してるからなんです。そういった受け身ではなく積極的に学んだり高めていこうという姿勢と、それを受け入れる先生の態度というのはとても勉強になります。
たまに議論が白熱し過ぎて授業が進まない時もあるのですが(笑)
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授業が白熱しすぎるというのは、いかにもラテン系の気質ですね。
自らの意見を述べることをあまりしない教育環境で育った日本人のアカデミー生は最初はこの風潮に慣れるのに苦労しますが、監督としてやっていくためにはこの習慣は必ず身につけなければならないハードルでもあります。
スペインのサッカーの現場に立てば10歳の子供であっても質問を矢のように浴びせられて、それに答えられない時には見事に選手からの信頼を失ってしまいます。大事なのは、あっているかどうかではなく自らの考えを伝えようとしているかどうか、なのです。