世界トップレベルのサッカー指導者になる2つの選択肢とは?

コンバートがもたらすプレーモデルの多様性

コパ・デル・レイ3連覇のバルセロナ

こんにちは。

先日行われたスペイン国王杯(コパ・デル・レイ)の決勝はすでに退任を発表していたルイス・エンリケ監督率いるFCバルセロナ対破竹の勢いで勝ち上がってきたデポルティーボアラベスとの対戦になりました。

この試合を3対1で勝利したことで、FCバルセロナはコパデルレイ三連覇を達成しルイス・エンリケは9つのタイトルを獲得したことになります。

このゲームでは開始10分にマスチェラーノが負傷して退場、交代で入ったアンドレ・ゴメスが右サイドバックでプレーしなければならないという予想外の対応を迫られたバルセロナでしたが、その問題にも対応し無事に勝利を収めることができました。

セルジ・ロベルトのコンバートがもたらした効果

さて、ルイスエンリケが監督を務めた3シーズンでは一番の見所はMSNのスリートップに加えて、若返りを測ったスターティングメンバーの入れ替わりでしょう。

長くに渡ってバルセロナの中盤に君臨したシャビエルナンデスが退団し、昨シーズンの末にはダニエウ・アウベスもユベントスへ移籍して行きました。そのアウベスの移籍の穴を埋めたのは、本来は中盤を務めていたセルジ・ロベルトでした。 初めは誰もがこのコンバートに驚きを隠せませんでしたが、時間とともにセルジロベルトのサイドバックは定着し、個人としてもプレーに安定感が出てきました。

このコンバートは、アウベスとはタイプの異なるサイドバックとしてチームのパフォーマンスに彩りを与えました。

アウベスはどちらからと言うとサイドを駆け上がりセンタリングをあげるのがストロングポイントとして特徴的でしたが、セルジロベルトの攻撃時の役割はどちらからと言うと中盤に近い役割のビルドアップや中にポジションを取って攻撃に参加するのが特徴的です

実はこのコンバートも始めはダニエルアウベスの怪我によって急遽行われたもので、初めはそつなくこなしているという印象だったですが、今ではサイドバックでありながらも攻撃にどんどん参加していく攻撃的なディフェンスの選手の一人としてチームの中の定位置をつかんでいます。特に、クラシコで見せたようなボールを奪ってからのカウンターの時の攻撃参加は印象的でした。

クラシコに関する記事はこちら「賢くファールする レアルマドリードの重大なミス」

また今シーズンのバルセロナは3バックを採用していたことが特徴的ではありましたが、このシステム変更とセルジ・ロベルトのコンバートとの間にとある関係を見ることができます

なぜなら今シーズンのバルサの3バックは変則的なポジショニングを採用し攻撃時には3バック、守備時には4バックとなり、セルジ・ロベルトが右サイドバックのポジションで守備を行っているのです。

これも、彼が本職は中盤でありながらサイドバックを経験していたからこそできたことでしょう。

バルセロナのようなチャンピオンチームは相手の守備がどのような形で出てくるかを事前に分析し、相手の守備に対応することが求められます。相手チームはバルサの攻撃に対してしっかりと守備をしてからカウンターでチャンスを作り出すことをベースに戦術を準備します。ですから、手を変え品を変えて攻撃のバリエーションに変化を加えていかないと相手にとっては「それはもう分かっている」となってしまうのです。

そのような時に、試合が始まる時に3バックまたは 4 バックのどちらで来るかわからない場合は非常に困ります。グアルディオラ時代のバルセロナの時もそうでしたが、相手チームからするとスターティングメンバーを見てもシステムが予想できないというのは、非常に手を焼くのです。

そのような意味でも3バックのオプションを手に入れられたのも、セルジロベルトのコンバートがあったことは要素の一つと見ることができます(ちなみにグアルディオラ時代のバルサでは、セルヒオ・ブスケツを何度かセンターバックでプレイさせた後に3バックを採用しています)。

このようにして、一人の選手のコンバートはチームのプレイモデルに多様性を与え大きな変化を及ぼし、チームを発展させるきっかけにもなるのですね。監督視点で見ると、意外な多様性がコンバートによって起こる可能性もありますので、余裕がある時には違うポジションで試すのも悪くないのかもしれません。

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