世界トップレベルのサッカー指導者になる2つの選択肢とは?

スペインのサッカー指導者学校のテストとは

指導者学校に通っているアカデミー5期生に戦術のテストの内容を教えてもらいました。日本のサッカー協会のライセンスのテストとは若干異なる形式で進んでいきます。

これからスペインへきて指導者の勉強をしようと考えている方には参考になる内容だと思いますので紹介したいと思います。

選択問題と記述からなる問題

今日のテストはどんな内容が出ましたか?

マーキングの原理原則に関する問題が出ました。

「常にボールを見る」などのマーキングの中の1対1における原理原則が9つあるのですが、そのうちの5つを記述するというものでした。「相手が背中を向けたときに距離を詰める」や「アプローチの際のスピードのコントロール」などです。

日本でいうと原理原則のようなものですね

先生もまず「これらの内容を覚えろ」と言っていました。9つのうち5個を書けばオッケーでした。これは書き問題で箇条書きで書いていくパターンでした。

それと「Defensa intermedia(守備の中間ポジション)とは?を説明せよ」という問題も出ました。マークでもスライドでもそうなのですが基礎的な原理原則として出てきました。

あとはBasculacion(スライド)のキーファクターが3つ挙げられていて、そのうちの一つを説明しろというものもありました。例えばボールサイドに人数をかけてプレッシングをかけて、ボールと逆サイドは捨てる、というものです。ボール周辺に人数をよせて相手の自由なスペースを消して数的優位を作りボールを奪うというものです。

それを説明として記述していくということですね。

後は、プレイするための原理原則として4つの優位というものがあるのですが、それを4つ挙げるというものも出ました。

1つは「数的優位superioridad numerica」、「個人による優位性individual」、「連携による優位colectiva」、「ポジション有利superioridad posicional」がそれらにあたります。

テストでの配点はどうなっているのでしょう?

10点満点のうち、5点が選択問題によるものです。そして3点が記述式の問題4問、残りが指導実践での点数となります。Profundidad深さ、desmarcaje tercerマークを外す動き、Tercer hombre3人目の動きのうちから一つ選び実践を行いました。

テーマは好きなものを選べるですね。何を選んだのでしょうか?

僕らは「深さ」を選びました。ゲーム形式でゴールの横にフリーマンを置き中は3対3で行うトレーニングを作りました。設定に関して特に人数制限はないので、中の人数は自由です。

トレーニングの方法を作り、ノルマを設定、キーファクターも設定し、estrategia didactica(トレーニングメソッド)を設定します。

そのトレーニングではキーファクターとノルマは何を設定しましたか?

「周辺の状況を見るために顔をあげる」というもの。そして、守備者がボール保持者と受け手を一度に両方見れないために「斜めにパスコースを作る」というものを設定しました。

本当に基本的な部分ではあります。

パスコースを縦に作ること、周辺の状況を見るために顔を上げること、それからパスしたら遠方にサポートが入るようにすること、これらの3つを抑えておけば深さは充分に発生しますね。

はい。カタルーニャサッカー協会の資料を吟味してベーシックなところを答えておきました。かなり忠実に行った感じではあります(笑)

ただ今日のテストでは聞いた方は最低5つと出ていましたので、最後は「縦パスは強く」というものを記入しておきました。ただこれも資料に書いてあったので大丈夫だと思います(笑)

その前に2人組みを作って指導実践をやるからということで練習メニューを作成します。まずは2人組みを作り先生のとこに行くと白紙の紙をもらいます。そして先生にテーマを与えられます。僕らはカバーリングとペルムータだったんですが、ほかの生徒のテーマはわれわれは分りません。ですので練習のメニューが質の低いものであると、最後まで目的がわからないまま終わってしまうこともあります。

そうなると減点対象になってしまうわけですね

はい。科目全体の評価として5点がテストに配分され、残りの5点のうち2点が指導実践で、2点が提出物、1点は取り組みが評価されます。提出物は授業の内容をまとめてワードに起こすというものです。今日もちょうどそれがありWMシステムの起源についてまとめたところです。

指導実践では、まずはメニュー提出で0.5点、内容で0.5点、監督らしい振る舞いができているかが0.5点、実際の指導が0.5点で評価されます。かなり細かく細分化されています。

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スペインの指導者学校のカリキュラムは学術的な要素が強く採点方法もきちんと定められています。このようなシステムがあるからこそ、若い指導者も整理して知識を習得しベースを固めることができるのです。このような環境で勉強することは指導者としての知識を作り経験を積んでいくためには非常にお薦めです。

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